名前を持つ服、歴史のある服。”思い出の服”を届ける LEBECCA boutique (後編)

前編はこちら


“あの山”に入ってしまわない服を


2年ほどブランドを続けてきた結果、徐々に支持してくださる方が増え、それに比例するようにオリジナルアイテムを大切にしてくださる方が格段に多くなりました。

ラフォーレ原宿で館内1位を誇った日もあるほど売上も伸び、嬉しいことに購入してくださる方のほとんどが私やブランドが発信する思想に触れてくださっています。


お客様からメッセージを受け取ることも増えたのですが、その中にこんな言葉がありました。

「思いが込められた服を着たことで、今日の出来事がより忘れられない思い出となりました。」

「大切な思い出になる日とわかっていたので、その日は絶対に思いの詰まった服が着たかった。だから迷わずLEBECCA boutiqueに行きました。」

「思いがこもっているのを知っているから、絶対に捨てません。大切な日に着ます。」等々…

こんなに嬉しいことはありません。

私は、私の思いが届いているだけでなく、“誰かの思い出”の一部になれていることを知りました。

みんなの捨てられない服、捨てたくない服、最後まで大切にしてもらえる服、大切に手放してもらえる服を目指してきたことが少しずつ実になっているのでは、と深い幸せも感じています。


人が本当に大切にするのは服?


そこで私は改めて、あることに気が付きました。

それは「人が本当に大切にするのは“服”ではなく、“思い”である」ということ。

服が欲しければ何も考えずに数秒で買えてしまう時代。
極端な話、目を閉じていたって耳を塞いでいたって手に入れることができます。それが100円のものでも、1,000円でも10,000円でも、その10倍だって同じこと。

何も考えずに着ることも簡単にできますし、もっと言えば要らなくなったら一度しか着ていなくても、ゴミ箱に入れて消してしまうことができます。

私はこの気付きから、たくさんの人に「あなたにとって大切な服は?」と聞いて回りました。

すると予想していた通り。
家族からのお下がり、恋人からの贈り物、自分へのご褒美、あの人に褒められた一枚、晴れ舞台に選んだ一張羅、並んでやっと手に入れた憧れの的、悩みに悩んで買った高級品、作り手の思いが込められたアイテム…

形も値段も違いますが、“思い”がセットになったものだけが答えとして返ってきました。

服に関わる職ではない人も、普段服に興味がなさそうな人も、服にお金を使わない人も、逆にファッションに散財してしまうタイプの人も、全員です。

当たり前のことに思えますが、これに気がついた時は舞い上がるほどの喜びを感じました。

「誰かの思いに繋がる服を届けよう」そう改めて心に決めた瞬間でもありました。


ドレスコードは“思い出の服”


この気付きから得た喜びは、自分のブランドに反映させるだけでは収まらず、私はもう1つの決心をしました。
それは「“思い出の服”をドレスコードにしたイベント」を開催すること。

「みんなが“思い出の服”を見せ合い、語り合う場所をつくれたら。“思い出の服”を持つことに憧れる人が増えてくれたら。そうしたら私の目指す世界は現実になるのでは…」そう考えたのです。

そして構想から数ヶ月。
2018年4月22日、東京・渋谷にてそれをついに叶えられることになりました。

イベント名は「instant GALA(インスタントガラ)」。

instantには「瞬間」、GALAには「祭典、祝祭」という意味があり、“思い出の服”を着て集まるこの瞬間を共に喜ぶ祭典になればと思い、主催する仲間たちと共に命名しました。

会場は約600人規模のライブハウス。
自身も“思い出の服”があるアーティストのライブをはじめ、ファッションや音楽を仕事にしている方々や人気ブランドから集めた古着等を手売りする「ファッションストーリーマーケット」の実施も。
会場内を特別な一枚で埋め尽くすインスタレーション・アートの展示も行う予定です。

“思い出の服”をお持ちの方は、その服と選んだ自分に晴れの場を。
お持ちでない方は、新しい服にこの夜から思い出を。
そして「ファッションストーリーマーケット」で物語のある服との巡り会いを。

思いを大切にするということは、思っている自分のことを大切にすることとイコールです。

そのことこそ、服が無駄に扱われないことに直結するのだと信じています。

ファッションに深いこだわりのあるゲストも会場内にたくさんお呼びしますが、どなたでもお越しいただけます。ぜひあなただけの“思い出の服”を纏っていらしてください。

instant GALA オフィシャルサイト

 


2018年は未来に繋がるキーイヤー


私はLEBECCA boutiqueというブランドを創設し立ち向かったことで確実に人生が変わり、今もそれを毎日更新し続けています。

2018年は、新しい小売の形に挑戦するためキャンピングカーで47都道府県を巡りながら服の移動販売をする“日本一周の旅”をスタートさせたり、生産現場の方々と直接やりとりすることが叶う“私が完全に納得できるものづくり”に向けての一歩を踏み出す年。

今の私を支えてくださっている方々のことを心から大切にしながら、愛おしい世界を少しづつ作り続けていけたらと思っています。

そして少しずつ「エシカルファッション」に近付き、私なりのそれを叶えていきたいです。

 

赤澤える

LEBECCA boutiqueブランド総合ディレクターをはじめ、様々な分野でマルチに活動。
特にエシカルファッションに強い興味・関心を寄せ、自分なりの解釈を織り交ぜたアプローチを続けている。また、参加者全員が「思い出の服」をドレスコードとして身につけ、新しいファッションカルチャーを発信する、世界初の服フェス『instant GALA(インスタント・ガラ)』のクリエイティブディレクターに就任。チケットは下記のクラウドファンディングより。
instant GALA 

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